2004年のベスト
記録として、昨年読んだ小説のベストを。
昨年の読書量は逓増だった。
出張が多く、読書時間が増えたのだ。
![]() | 愚か者死すべし 原尞著 早川書房 |
![]() | アフターダーク 村上春樹著 講談社 |
![]() | 船宿たき川捕物暦 樋口有介著 筑摩書房 |
![]() | 見えないドアと鶴の空 白石一文著 光文社 |
![]() | バッテリー(角川文庫) あさのあつこ〔著〕 角川書店 |
![]() | 探偵家族(ハヤカワ・ミステリ文庫 HM 165-12) マイクル・Z.リューイン著・田口俊樹訳 早川書房 |
ベスト3とベスト3の補欠ということで。
原尞の作品は9年ぶり、2004年の掉尾を飾った傑作だ。
長く待っていた甲斐があった。
読みはじめ、気が付くと読み終わっていた。それほどに滑らかな文章と息をつかせぬストーリー展開なのだ。
日本のハードボイルド小説の一つの頂点だ。
来年の「このミス」では、必ずや上位に、否、一位になるだろう。
素晴らしい面白い。
原尞はチャンドラースクールの正統な後継者だ、と実感した。
(ハメット・チャンドラースクールでも、チャンドラー・マクドナルドスクールでもなく、ただのチャンドラースクールである)
う~ん、痺れた。
アフターダークは、小説の楽しみが詰まっていた。
謎は残されたままで、それからどうなる、どうしてそうなった、という中途半端さが心地いいのだ。
樋口有介は、青春ミステリー(なんていうジャンルがあるのかはわからないけど)の旗手である。その颯爽とした雰囲気をそのまま時代小説に持ち込んできた。初めての時代小説というけれど、どうして慣れたものである。新しい時代小説の書き手の登場だね。
補欠というのは失礼だったな。
白石一文氏の小説は、新たな地平を拓いた観がある。もちろん、その引き締まった文章は変わらない。人をこれまでとは違う角度で描き、切り取ろうとしている。
賛否が分かれるだろうなあ、この小説は。
「バッテリー」は、YA(ヤングアダルト)小説だ。児童小説とでもいうのだろうか。児童文学はあなどれない。森絵都や佐藤多佳子の例を挙げるまでもない。そして、この「バッテリー」もだ。
野球好きの少年を淡々と描いているのだが、それが熱いのだ。
おおどうなるどうなるとワクワクしながら読んだ。
巨匠のユーモアあふれる佳作なのが、「探偵家族」。私立探偵が家業の一家、祖父、長男、次男夫婦、長女、そして次男夫婦の子供たち、一族すべてが探偵家業に関わっている。
え~と、死体はほとんどお目にかからない、芸術家の長男はいつまでも結婚をしないで祖母を悩ましているし、長女は不倫を続け、まともに探偵家業を努めている次男夫婦、その子供の娘と息子はいつも喧嘩しているし、持ち込まれる事件は洗剤がいつものようにおかれていなかった謎、というものだし。多様な登場人物を映画のような場面展開で描き出していく。
なかなか、読ませるのです。
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