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2005.01.14

2004年のベスト

 記録として、昨年読んだ小説のベストを。

 昨年の読書量は逓増だった。
 出張が多く、読書時間が増えたのだ。


愚か者死すべし
原尞著 早川書房

         
アフターダーク
村上春樹著 講談社

         
船宿たき川捕物暦
樋口有介著 筑摩書房

         

見えないドアと鶴の空
白石一文著 光文社

バッテリー(角川文庫)
あさのあつこ〔著〕 角川書店
探偵家族(ハヤカワ・ミステリ文庫 HM 165-12)
マイクル・Z.リューイン著・田口俊樹訳  早川書房


 ベスト3とベスト3の補欠ということで。

 原尞の作品は9年ぶり、2004年の掉尾を飾った傑作だ。
 長く待っていた甲斐があった。

 読みはじめ、気が付くと読み終わっていた。それほどに滑らかな文章と息をつかせぬストーリー展開なのだ。
 日本のハードボイルド小説の一つの頂点だ。
 来年の「このミス」では、必ずや上位に、否、一位になるだろう。
 素晴らしい面白い。

 原尞はチャンドラースクールの正統な後継者だ、と実感した。
 (ハメット・チャンドラースクールでも、チャンドラー・マクドナルドスクールでもなく、ただのチャンドラースクールである)
 う~ん、痺れた。

 アフターダークは、小説の楽しみが詰まっていた。
 謎は残されたままで、それからどうなる、どうしてそうなった、という中途半端さが心地いいのだ。

 樋口有介は、青春ミステリー(なんていうジャンルがあるのかはわからないけど)の旗手である。その颯爽とした雰囲気をそのまま時代小説に持ち込んできた。初めての時代小説というけれど、どうして慣れたものである。新しい時代小説の書き手の登場だね。

 補欠というのは失礼だったな。

 白石一文氏の小説は、新たな地平を拓いた観がある。もちろん、その引き締まった文章は変わらない。人をこれまでとは違う角度で描き、切り取ろうとしている。
 賛否が分かれるだろうなあ、この小説は。

 「バッテリー」は、YA(ヤングアダルト)小説だ。児童小説とでもいうのだろうか。児童文学はあなどれない。森絵都や佐藤多佳子の例を挙げるまでもない。そして、この「バッテリー」もだ。
 野球好きの少年を淡々と描いているのだが、それが熱いのだ。
 おおどうなるどうなるとワクワクしながら読んだ。

 巨匠のユーモアあふれる佳作なのが、「探偵家族」。私立探偵が家業の一家、祖父、長男、次男夫婦、長女、そして次男夫婦の子供たち、一族すべてが探偵家業に関わっている。
 え~と、死体はほとんどお目にかからない、芸術家の長男はいつまでも結婚をしないで祖母を悩ましているし、長女は不倫を続け、まともに探偵家業を努めている次男夫婦、その子供の娘と息子はいつも喧嘩しているし、持ち込まれる事件は洗剤がいつものようにおかれていなかった謎、というものだし。多様な登場人物を映画のような場面展開で描き出していく。
 なかなか、読ませるのです。 

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