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2005.02.03

言葉が7%なんてことはない――プレゼンテーション「メラビアンの法則」伝説

 過日、とある1日のプレゼンテーション研修を受講した。
 プレゼンテーション研修の講師をしていることは詳かにしないで、受けたのだ。

 いつも教える立場というのもつまらない。
 受講者の立場になって、講座のあり方を点検してみたい、とまあ思ったのである。

 また、デジタルプレゼンテーションと銘打っていたので、
 パワーポイントの作り方に関して、新しい知見が得られるかもしれない、と期待もあった。

 結果は、受講者の立場を今一度味わう、という所期の目的は達成できた。
 演習をする時には緊張感を覚えた。
 講義を受けながら、テキストと説明、パワーポイントの連携の具合は参考になった。
 (正確には反面教師になったのだ。テキストと説明、パワーポイントの連携がうまくできていなくて、受講者は「今の説明はテキストどこだろう」と右往左往していた)
 
 パワーポイントの作成方法に関しては、新しい知見を得ることができなかった。
 基本的なことだけなので、既に知っていることばかりだったのだ。

 パワーポイントの色遣いについての説明があった。
 私が作っているものとは違う色遣いで新鮮だった。
 が、いかんせん、説明された色遣いではスクリーンが見づらくて、説得力がなかった。残念!

 この講座は、午前がプレゼンテーションにおける、話し方、態度についての説明、午後がパワーポイントの作成だった。

 プレゼンテーションでは、話し方(声の大きさや速さ、抑揚、言葉遣いなど)や態度(姿勢や視線、ジェスチャーなど)が大きな要素を占めるというのだ。

 その根拠として出してきたのが「メラビアンの法則」である。

 メラビアンの法則というのはは、一般にコミュニケーションにおいて、相手に伝わるのは「言葉」「話し方」「態度」の
 それぞれはどのような割合になっているかというと

 「言葉」 7%
 「話し方」38%
 「態度」 55%

 というのだ。
 
 だから、言葉だけではダメで、話し方(声の大きさ、抑揚、間とか)や態度(アイコンタクトとか姿勢、ジェスチャー)に気をつけましょう。
 ということなのだが、何か人に話をして、内容がわずか7%しか伝わらないのだろうか。
 電話でやり取りをすると、態度はなくなるから話し方が93%なのか。
 そんなことはないだろう。

 実は、メラビアンの法則は、結果だけが一人歩きをしてしまった、一つの都市伝説なのだ。

 メラビアンの法則は実際どういうものだったのかは、Web上でいくつか紹介されているので、私は、日本人に同じ実験をした佐藤綾子さんの著書から紹介しよう。

「カリフォルニア大学の心理学者マレービアンは、たとえば「プリーズ」という中間的な単語を使った場合、同じ単語でも声の調子や顔の表情を変えると、相手に対して好感または反感のどちらかが強く伝わるという仮説を立て、実際に測定しました。
 その結果が、好意の総計(トータルライキング)というものです。
 アメリカ人の好意の総計=言語7パーセント+声などの周辺言語38パーセント+顔の表情55パーセント
 私もまったく同じ手法を使い、「どうぞ」とか「どうも」というような中間的な言葉や、「すみません」といった、いろいろな解釈ができそうな言葉を使って1994年に実践女子大学の学生たちを被験者として実験しました。すなわち、日本人の好意の総計を求めたのです。結果は次の通りでした。
 日本人の好意の総計=言語8パーセント+声などの周辺言語32パーセント+顔の表情60パーセント」(「成功する人の自己表現術」p32 ダイヤモンド社1996年刊)

 この記述からもわかるように、この実験は好意・反感の伝わり具合を実験してるに過ぎない。
 コミュニケーション全般については一切言及していないのだ。
 実験で使ったのは「プリーズ」とか「どうも」という単語でしかないし、顔しか見ていない。
 これで、態度やジェスチャーも重要です、という証拠にはなりようがない。

 ましてや、言葉だけでは伝わりません、という説明はまったく見当はずれなことだ。
 そもそも意味のあることを言っていないのだから。

 私も、プレゼンテーション研修をはじめた頃、この「メラビアンの法則」を知り、喜々として話し方や態度が重要ですよ、と説明をしていたものだ。
 今から思うと、汗顔の至りである。

 しかし、どうもこの「メラビアンの法則」をコミュニケーション全般に適応するのは間違っている、ということに気が付いた。
 内容が論理的に整っている方が、話し方や態度に多少の難があってもわかるのである。

 話し方や態度はどうでもいいのかというと、もちろんそうではない。
 いいに越したことはない。しかし、「越したことはない」程度なのである。

 プレゼンテーションの研修では、話し方や態度のところは説明も簡単だし、演習をしてもフィードバックしやすい。
 なので、この「メラビアンの法則」伝説を頼りに、話し方や態度に重点をおいた研修になってしまうのだろう。

 内容をフィードバックし、改善モデルを示すのは骨の折れることだ。
 1日に数名をやるのが精一杯、効率が悪い。
 が、こちらの方が受講者には実になるのだ。

 私のプレゼンテーション研修では、このメラビアンの法則は、一切言及していない。
 様々なしがらみで、私オリジナルのテキストを使えない時もある。
 その時は、このメラビアンの法則も出てくるが、法則の中身を説明し、「いいに越したことはないですよ」と説明するにとどめている。

 ディベーターとしては、その根拠の根拠を疑え、ということだね。

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コメント

mayu さん
見た目は9割とか、困ったものですね。
実際のところ、メラビアンの法則は、普通のコミュニケーションでは当てはまらないんですよね。

投稿: | 2006.06.28 08:23

初めてコメントします。
私は、マナー講師をしております。
他の研修講師が「メラビアンの法則」を使うことに違和感をもっていました。あまりにもあちこちで言われすぎてるので自分のブログにも書こうと思ってます(*^_^*)

また遊びにきます(*^_^*)
ありがとうございます。

投稿: mayu | 2006.06.28 07:43

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