今年の一冊
今年の読書を振り返ってみる。
新書でこれはというのは
●議論のルールブック 岩田宗之
非常にシンプルでわかりやすい、ルールブックである。
特に、「自己責任」の説明がわかりやすく参考になる。
古典を久しぶりに読んだ
●若きウェルテルの悩み ゲーテ
数世紀の時を経ても色褪せない傑作だ。あらためてゲーテの天才に震えがきた。
準古典
●グレート ギャッツビー スコット・フィッツジェラルド 村上春樹訳
村上春樹がなぜこの小説を大切にしていたのか、それがよくわかる。
胸に迫る切ない物語だ。最後の一節に涙した。
●四十八歳の抵抗 石川達三
まあ、自分もこの年を過ぎてしまったので、と読んでみたのである。
小市民的冒険、これで人生は終わりではないぞ、と意気込んで、というのはよく分かる。
いたいけな少女を誘惑し、これから、と言うところで成就しない、しないところにホッとすることが小市民的で微笑ましい。
●大菩薩峠 中里介山
ついに読みはじめた長大なシリーズ。
作者が大乗小説と銘々したように、市井の民の姿が活き活きと描かれている。しかも話は波瀾万丈、奇想天外、千変万化、そして気宇壮大。息もつかせない。いやはや。あまりに面白いので、少しずつ読むことにした。年末で6巻まで読了。あと2/3しかない。
ミステリも収穫が多かった
古典的なのでは
●通り魔 エド・マクベイン
87分署シリーズを読み返しているのだ。その中でもこの一冊は初期の傑作だ。職人芸的ストーリーテーリング、ページをめくるのももどかしいほどのめり込んだ。
●沈黙のセールスマン マイクル・Z・リューイン
古典というにはまだまだだけど、傑作であることに間違いはない。腰の引けた私立探偵と好奇心旺盛な娘の関係が気になる。
最近の作品では
●ハリウッド警察25時 ジョセフ・ウォンボー
群像劇が素晴らしかった。
これは、大外れ、読まなければよかった。
×スワンの怒り アイリス・ジョハンセン
設定は面白いのに、テンポは緩慢、人物の造形は浅薄、退屈な小説だったなあ。
若手の作品にいいものが結構ありましたね。
●ひとりの時間 華恵
まいった、正直まいりましたね。15歳の文章とは思えないような、端正な文に引き込まれる。自分を冷静に見つめる眼差しが清々しい。周りを見る目の怜悧な観察眼が末恐ろしい。
●エンドレス・ワールド 佐伯紅緒
若々しく、清々しい清冽な青春小説である。ただ真っ直ぐな愚直な物語でなく、陰影のある主人公の再生の物語なのだ。過去との訣別、新たな旅立ち、人生のはじまりを鮮烈な筆が描いている。
●鴨川ホルモー 万城目学
新人、それもすごい達者な新人の登場だ。それにしてもだ、着想の豊かさと話の筋の巧みさは、素晴らしい。ホルモーとは何か、謎は残るが、これはこれで素晴らしい。
●ホルモー六景 万城目学
いいねえ、笑える。愛だ。まだまだ続きを読みたい。
中堅、ベテランもよかった。
●一瞬の風になれ 佐藤多佳子
青春小説の傑作の誕生だ。スポーツものは熱くなるなあ。走る感じ伝わってくる。
●天国はまだ遠く 瀬尾まいこ
ほんのりほんわか、しかし、凛とした筋が通っている。
●烏金 西條奈加
これは、面白い! 人情、市井の人々の生き方、人としての矜恃をもつ、読んで爽やか、素晴らしい作品だ。
で、今年最高の一冊は
◎武士道シックスティーン 誉田哲也
泣けた。清々しい青春、ライバルとの友情、自己との葛藤、家族との確執と絆、青春小説のエッセンスがしっかりと詰まっている。剣道というのはあまり題材になりにくい小説だったけど、きっちりと取り上げている。なぜ、それをするのか「そこに山があるから」というように、ただそれが好きだからに過ぎないのだ。それを知るまでの道程が、ずいぶん前に青春を終えたものには懐かしい。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

![左口絹英/こう書房: [オーディオブックCD] 「自分」をうまく伝えられない人が読むクスリ](http://ecx.images-amazon.com/images/I/01PRMTp8FNL.jpg)





