秤は使いません。ということは……
ある国に出かけた人の話を聞いた。
その国で子どもたちに実験教室を開こうとしたのだそうだ。
廃油で石けんを作り、エコな生活をと
教材は出来るだけ現地のものを使って
で、現地に行ってみて、いざ廃油石けんを作ろうとしたら
思いがけない問題が持ち上がった
何しろ、廃油がない。
家庭から出る使い古した食用油を集めようとしたら、そもそも廃油がないのだそうだ。
家庭では油を使い切るらしい。揚げ物はヒタヒタの油で揚げ、あまった油は炒め物に使う、つまり廃油がない。
次に、材料を量るための秤をスーパーに買いにいったら、秤がなかった。
なぜないのか、と聞くと、料理は味見をすればわかることで、秤で量らない、とのこと。
秤のない生活は何を意味するのか、
秤がないということは、新しい料理を作る習慣がないということではないか。
それまで慣れ親しんできた料理は味見をすることで、調整がきくだろう。
新しい料理は、材料や調味料をレシピに従って用意し、調理しなくてはならない。
経験値で味付けが出来ないのである。
この文化圏では、テキストを読んでそれに沿って新しいことを試す、という文化がない、ということではないか。
伝統的生活を続けてゆくのには差し障りがないが、新しい文物を取り入れていくことが難しいことになる。
なるほど、日本では当たり前と思っていることが、他の文化圏では違う、ささやかな事象が行動様式を表しているのだ。
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