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2016.01.11

橋から橋へ 恋と愛を繋ぐ物語たち――これを読んだら、あれを読む――連想する読書

わかっているのだ。

もう、どうしようもないことは。

それでも、心から締め出すことはできない。

心に残り、時に思い出し、痛みを感じるのだ。

 

道ばたに落としてしまった硬貨。

試験前につい観てしまったテレビ、無駄に過ごしてしまった時間。

ガイドブックを信じて入った店、その料理が口に合わなかったこと。費やした労力とお金。

 

そして、あの時、わずかの勇気があれば、あの人は去っていかなかったかもしれない……。

と。

 

ある詩人は、橋のたもとに佇み、過ぎ去りし日々のことを語る

その詩は、やがて歌になり、伝わり、心に残る。

 

~~

  日が暮れて鐘が鳴る

  月日は流れわたしは残る

~~

 

(ミラボオ橋 ギィヨオム・アポリネエル 堀口大學訳 「月下の一群」より 一部抜粋)

 

詩人が恋した画家は、彼と別れ別の人と結婚し、少し不幸せな短い結婚生活を送ることになる。

そして、最後に彼女は若き日に詩人から送られた手紙を手に亡くなった。

 

彼女は晩年こんな詩を書いていた。

 

 

退屈な女より

もつと哀れなのは

~~

 

(鎮静剤 マリイ・ロランサン 堀口大學訳「月下の一群」より)

 

もっとも哀れな女は、それは……と詩は続く。

最後にもっとも哀れなのは……。

 

短い詩に託して、鎮めていたのだろう。

短い恋の終わりが、いつまでも痛むから。

 

詩人と画家の顛末を知りながら読む、ふたりのそれぞれの詩は、胸に迫ってくる。

 

ギィヨオム・アポリネエルとマリイ・ロランサンの恋はどんなのだったのだろう、20世紀初頭のパリを舞台にどのような会話が交わされたのだろう。

 

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「とにかく、彼女、そんなに綺麗じゃないわ」とフランセスは言った。「あなたが見とれて首の骨を折りかねないほど綺麗じゃなくてよ」

 

(夏服を着た女たち アーウィン・ショー 常盤新平訳 より)

 

ニューヨーク五番街、小春日和に街を歩く夫婦の会話だ。

いつも美人を目で追う夫、それを好ましく思わない妻。さて、ふたりはどうなるのだろう。

アーウィン・ショーは、鮮やかに人生のいち場面を切り取り、場面の向こうにあるその前の物語、その後の物語を感じさせてくれる。

 

残念なのは、アーウィン・ショーの小説は、今はこの短編集でしか読めないことだ。

 

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別れたふたり、夫婦のふたりと遡りきたから、出会ったふたりの物語も読みたいもの。

 

出会った頃のことなど、すっかり忘れてしまったアラ還(アラウンド還暦)の私も、思わず胸が痛んだ物語がある。

 

 

京都の理系の大学生が、雨の日に出会った一人の女性。

彼の初々しさが、おじさんには痛い!

何とか、彼女をデートに誘ったのはいいけれど、なにを話していいのか、いや、その前にどこに行っていいのかすらわからず、友人の彼女に相談したりするのだ。

完璧な会話シミレーションをしたり……。

しかし、彼女には…………

 

(左京区恋月橋渡ル 瀧羽麻子著)

 

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遠い昔の胸の疼きが蘇るのである。

もう、今では、胸が疼くと「恋?」ではなく「病?」と思ってしまうのが、とても寂しい。

 

そして、この本は小さな論争を巻き起こした。

この物語を読み終えたある男性は「許せん!」と憤り

ある女性は「でも、ありなんじゃないかな」と語り、

ある男性は「わかるけど、なんとかならなかったのか」と悔しさをにじませ

ある女性は「しかたないんじゃないの」と諭し、

……

なぜ、論争が巻き起こるのか、それは読み終えたあと、他の方と語る、異性と語り合うとわかります。

 

 

ミラボオ橋から、恋月橋まで。

愛の終わりから、愛の営み、そして、恋のはじまりの物語。

如何でしたか?

 

 

紹介した本

 

月下の一群 (講談社文芸文庫)

夏服を着た女たち

左京区恋月橋渡ル (小学館文庫)

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